育休を取る前に知っておくお金の注意点|給付金はいくら?住宅ローンはどうする?

この記事の要点

  • 給付金は180日まで賃金の67%・以降50%(非課税)。2025年からは出生後休業支援給付金(+13%)で、両親とも14日以上取れば最大28日間は手取り約10割相当になります
  • 社会保険料は免除(月末を含む月等)。一方で住民税は前年所得ベースで満額請求が続く——ここが最大の資金繰りの盲点です
  • 住宅ローンの返済は育休中も止まりません。ペアローンは片方の収入減に弱い構造なので、育休予定があるなら取得前に返済計画と貯蓄クッションの確認

育休を取るかどうか・どれだけ取るかの判断には、制度の正確な理解が欠かせません。「収入がゼロになるのでは」という過剰な不安も、「手取り10割って聞いたから大丈夫」という過信も、どちらも実態とズレています。

この記事では、育休中に入ってくるお金(給付金)と出ていくお金(住民税・住宅ローン)を時系列で整理し、住宅ローンを抱えた世帯・これから組む世帯が取得前にやっておくべき備えをまとめます。育休中の住宅ローン審査や控除の空振り問題は育休と住宅ローン審査の解説で詳しく扱っています。

入ってくるお金 — 給付率の正確な理解

給付には上限額があり、高収入の人ほど実際の給付率は下がります。また給付金の初回振込は申請の関係で休業開始から2〜3ヶ月後になるのが普通で、この空白期間の生活費は貯蓄で回す前提が必要です。

「手取り10割」は正確には、給付80%が非課税で社会保険料も免除されるため、手取りベースで通常時とほぼ同水準になる、という意味です。対象は出生後の一定期間・最大28日間で、育休全体が10割になるわけではありません。

育休中の給付(雇用保険・2026年8月時点)
期間・条件給付率ポイント
休業開始〜180日賃金の**67%**非課税+社会保険料免除で手取りは額面の8割前後の感覚に
181日目以降**50%**長く取るほど月々は細る。夫婦で分担して取る設計も
出生後休業支援給付金(2025年新設)**+13%(計80%)**・最大28日間**両親とも14日以上**の育休取得等が条件。この期間は手取り約10割相当

出ていくお金 — 住民税の時間差が最大の盲点

入りが減る一方で、出ていく側にも育休特有のルールがあります。得する免除と、盲点になる請求を分けて押さえます。

  • !!warn 住民税は前年所得ベースで満額来る — 給付金は非課税でも、住民税は前年のフル勤務の所得に対して課税されます。給与天引きできない期間は納付書で自分で払うことになり、数万円×数期の請求が収入減の家計を直撃します。育休前に「住民税の年額」を確認して取り分けておくのが実務の鉄則です
  • 社会保険料は免除される — 月末を含む月(または同月内14日以上)の休業で月額保険料が、賞与は1ヶ月超の休業で免除。免除期間も将来の年金額の計算上は払ったものとして扱われます(不利益なし)
  • 翌年の住民税は逆に軽くなる — 育休で所得が減った翌年度の住民税は下がります。ふるさと納税の上限も連動して下がるため、育休の年の寄附は控えめに(上限の解説)
  • 会社の手当・査定 — 育休取得を理由とする不利益取扱いは法律で禁止されています。一方、賞与の算定期間や昇給タイミングへの就業規則上の扱いは会社ごとに異なるため、人事制度の確認を

住宅ローンとの付き合い方 — 取る前の3チェック

最後に前向きな話を。社会保険料免除・非課税・出生後休業支援給付の上乗せにより、短期(〜28日)の育休は家計へのダメージがほぼない設計になっています。「お金が心配で取れない」の多くは、最初の1ヶ月に関しては制度理解で解消します。長期取得は上の資金繰り表で数字にしてから決める——これが育休とお金の実務的な結論です。

  • ①返済は止まらない前提で資金繰り表を作る — 「給付金67%+児童手当 − 住民税 − ローン返済 − 生活費」を月次で12ヶ月分。赤字月が見えたら貯蓄クッション(最低でも空白期間2〜3ヶ月+赤字分)を先に確保
  • !!warn ②ペアローンは片方の収入減に弱い — 夫婦それぞれの返済が続くため、育休側の給付金で自分の返済を賄えるかを確認。ここで詰まる実例はペアローン地獄の記事のとおりで、これから組むなら育休予定を織り込んだ借入配分に(世帯年収の考え方)
  • ③これから買う人は「審査」と「控除」のタイミングも — 育休中の審査の扱い・控除の空振り問題・入居時期の設計は育休と住宅ローン審査の解説へ。教育費の全体像は教育費と住宅ローンの記事で
  • !!info 返済が本当に苦しくなりそうなら、放置せず早めに金融機関へ相談を(返済条件の変更等の相談窓口があります。払えないときの対処)

よくある質問

育休中の収入はどのくらいになりますか?
雇用保険の育児休業給付金が、休業開始から180日までは賃金の67%、181日目以降は50%支給されます(上限あり・非課税)。加えて社会保険料が免除されるため、手取りベースでは額面の数字より目減り感は小さくなります。2025年4月からは、両親がそれぞれ14日以上の育休を取るなどの条件で最大28日間+13%(計80%)の出生後休業支援給付金が加わり、この期間は手取り約10割相当になります。
育休中も住民税は払うのですか?
払います。住民税は前年の所得に対して課税されるため、育休で収入が減っても前年のフル勤務分に基づく請求が続きます。給与天引きができない期間は納付書での納付(普通徴収)などに切り替わり、まとまった額を自分で払うことになります。育休前に年額を確認して取り分けておくと資金繰りが安定します。なお育休で所得が減った翌年度の住民税は軽くなります。
育休中の住宅ローン返済が不安です。どう備えればいいですか?
まず「給付金+児童手当−住民税−返済額−生活費」の月次資金繰り表を育休期間分作り、赤字月と必要な貯蓄クッションを数字にします。給付金の初回振込が休業開始から2〜3ヶ月後になる空白期間の分も上乗せしてください。ペアローンの場合は育休側の返済を給付金で賄えるかが焦点です。どうしても苦しい見通しなら、滞納前に金融機関へ返済条件の相談をするのが鉄則です。

理解度チェック

Q. 育児休業給付金は非課税で社会保険料も免除されるので、育休中に税金の支払いが発生することはない。

答え: ❌ — 所得税は給付金にかかりませんが、住民税は前年の所得に対して課税されるため、育休中も前年のフル勤務分に基づく住民税の納付が続きます。給与天引きができない期間は普通徴収(納付書)などで自分で払うことになり、収入が67%に減った家計に前年ベースの住民税が重なる「時間差」が育休家計の代表的な落とし穴です。

参考情報