育休・産休中でも住宅ローンは組める?審査の扱いと控除で損しない入居時期
この記事の要点
出産・育児のタイミングは、手狭になった住まいを買い替える・広い家を買う動機が生まれる時期でもあります。「育休中だとローンは組めないのでは」と心配されがちですが、結論は「組める。ただし銀行選びと入居時期の設計が大事」です。
この記事では、育休・産休中の審査で年収がどう扱われるか、必要書類、そして意外と知られていない「育休中の住宅ローン控除の空振り」問題を解説します。審査の基本は住宅ローン審査の解説を先にどうぞ。
審査の年収はどう見られる? — 銀行差が大きい
育休中の審査で使う年収は、金融機関によって主に3パターンに分かれます。①休業前の年収(源泉徴収票ベース)で見る、②復職後の見込み年収(勤務先の証明)で見る、③復職して実績が出るまで待ってもらう、です。
①②の場合、勤務先発行の復職(予定)証明書や復職後の給与見込みがわかる書類の提出を求められるのが一般的です。時短勤務で復職する予定なら、時短後の見込み額で見られることもあります。
育児休業給付金は雇用保険からの給付で非課税のため、審査上の年収には原則含まれません。「育休中も収入はある」という感覚と審査上の扱いは別物です。
扱いの差が大きいぶん、1行に断られても諦める必要はありません。ペアローン・収入合算を予定しているなら、育休側をどう評価するかを事前審査の段階で複数行に確認するのが効率的です(審査の流れ)。
見落としがちな「控除の空振り」— 所得がない年は1円も引けない
住宅ローン控除は、納めた所得税(と住民税の一部)から差し引く税額控除です。育休で1年間まるごと所得がない年は、引く元の税金がないため控除が実質ゼロになります。控除期間13年(新築)のカウントは入居年から進むので、育休と重なった年の分はそのまま失われます。
特に影響が大きいのがペアローンです。夫婦それぞれが自分の税金からしか控除できないため、育休側の持分・借入分の控除が空振りします(ペアローンの解説)。
- 対策①: 入居時期の設計 — 控除は「入居した年」から始まります。育休明けの復職年に入居がずれ込むよう調整できるなら、初年度からフルに控除を使えます
- 対策②: 借入配分の見直し — 育休・時短が長くなりそうなら、働き続ける側の借入割合を厚くする配分も検討(収入合算・連帯債務の型と控除の関係)
- 対策③: 復職後の初年度に確定申告を忘れない — 育休中に入居した場合でも、所得が戻った年からは控除が効きます。手続きは初年度の確定申告の解説へ
- !!warn 出産に伴う医療費控除で確定申告をする年は、ふるさと納税ワンストップ特例が無効になるなど控除同士の連動もあります(併用の解説)
無理のない借入額は「復職後の現実」で決める
審査に通る額と、育児しながら無理なく返せる額は別物です。復職後は時短勤務での収入減、保育料、教育費の積み上がりが同時に来ます。借入額は時短勤務の年収で返済負担率20〜25%に収まる範囲を目安にし、世帯での試算は世帯年収別の適正借入額と実質負担シミュレーター(維持費・控除込み)で確認してください。
片方の収入が一時的に細る期間を前提にした資金計画という意味では、産休・育休は「片働き化ストレステスト」を実際にやってみる機会でもあります。ペアローンで限度額いっぱいまで借りる前に、育休中の家計が回るかを必ず数字で確かめましょう。
よくある質問
- 育休中に住宅ローンの審査は通りますか?
- 通る可能性は十分あります。復職を前提に、休業前の年収や復職後の見込み年収で審査する金融機関が多く、復職(予定)証明書などの追加書類を求められます。ただし扱いは銀行によって大きく異なり、復職後の実績を求める銀行もあるため、事前審査の段階で育休中である旨を伝えて複数行に確認するのが確実です。隠して申し込むのは虚偽申告になるため避けてください。
- 育休中に入居すると住宅ローン控除はどうなりますか?
- 控除期間は入居年から始まりますが、育休で所得税・住民税を納めていない年は差し引く税金がないため控除が実質ゼロになります。特にペアローンでは育休側の控除が空振りします。復職後の年からは通常どおり控除できるので、可能であれば復職する年に入居時期を合わせると初年度から控除を活かせます。
- 産休・育休を理由にローンを断られることはありますか?
- 育休そのものを一律の否決理由にするかは金融機関の審査基準によります。復職前提の評価をする銀行を選べば土俵に乗れるケースが多く、フラット35など選択肢を広げる方法もあります。なお妊娠・出産を理由とする不利益取り扱いは雇用の場面では法律で禁止されていますが、ローン審査は各行の与信判断であるため、対応の異なる複数行への相談が現実的な対策です。
理解度チェック
Q. 育児休業給付金は収入なので、住宅ローン審査の年収に含めてもらえる。
答え: ❌ — 育児休業給付金は雇用保険からの給付で非課税のため、審査上の「年収」には原則含まれません。育休中の審査は、休業前の源泉徴収票や復職後の見込み年収(勤務先の証明)をもとに行われ、扱いは金融機関によって異なります。復職証明や復職後の給与見込み証明の提出を求められるのが一般的です。