変動金利が上がったら返済額はいくら増える?借入額別シミュレーションと5年ルールの落とし穴

2026年に入り、日本銀行の利上げを受けて多くの金融機関で変動金利の基準金利が引き上げられました。長く続いた超低金利が転換し、「変動金利で借りたけれど、これから返済額はどれくらい増えるのか」という不安が現実味を帯びています。

本記事では、変動金利が上昇したときに毎月返済額・総返済額がいくら増えるのかを、借入額別・上昇幅別に実際に計算します。あわせて、返済額の急増を抑える「5年ルール・125%ルール」が実は問題の先送りにすぎないこと、極端な場合の「未払い利息」のリスク、そして金利上昇局面での備え方を整理します。数値はすべて当サイトのシミュレーターと同じ計算式による概算です(前提: 35年・元利均等・ボーナス返済なし)。

借入額別・上昇幅別:毎月返済額はいくら増えるか

まず、基準金利1.1%で借りたローンの金利が上昇した場合、毎月返済額がいくらになるかを借入額別に示します(その金利で借りた場合の水準との比較)。

金利上昇後の毎月返済額(基準1.1%・35年・元利均等。カッコ内は基準からの増加)
借入額基準(1.1%)+0.5%(1.6%)+1.0%(2.1%)+1.5%(2.6%)
3,500万円100,439円108,887円(+8,448)117,746円(+17,307)127,007円(+26,568)
4,000万円114,788円124,442円(+9,654)134,567円(+19,779)145,151円(+30,363)
5,000万円143,485円155,553円(+12,068)168,208円(+24,723)181,438円(+37,953)

総返済額への影響:1%上昇で数百万円変わる

毎月の増加は数千円〜数万円でも、35年間の総返済額で見ると影響は大きくなります。金利が1%上がるだけで総返済額は800万円以上増える計算で、変動金利を選ぶとはこの規模の変動を家計で受け止める前提に立つことを意味します。借入4,000万円の場合の内訳は次のとおりです。

  • +0.5%(1.6%): 総返済 約5,227万円(基準比 +約405万円)
  • +1.0%(2.1%): 総返済 約5,652万円(基準比 +約831万円)
  • +1.5%(2.6%): 総返済 約6,096万円(基準比 +約1,275万円)

5年ルール・125%ルールは「先送り」にすぎない

多くの金融機関の変動金利(元利均等)には、返済額の急増を和らげる2つのルールがあります。5年ルールは、金利が上がっても毎月返済額を5年間据え置くもの。125%ルールは、5年ごとの返済額改定時に、新しい返済額を従前の1.25倍までに抑えるものです。

一見すると安心な仕組みですが、これらは支払うべき利息を減らすわけではありません。据え置いている間も金利上昇分の利息は発生し続け、元金の減りが遅くなります。そして5年後、据え置かれていた分がまとめて返済額に反映され、上限いっぱい(1.25倍)まで跳ね上がることがあります。

金利上昇シナリオでの毎月返済額の推移(借入4,000万円。6年目以降じわじわ上昇)
経過5年ルール(125%上限)即時反映(ネット銀行等)
1年目114,788円114,788円
6年目123,121円123,121円
11年目153,901円165,544円
16年目178,269円165,544円

先送りは総額ではむしろ損になりうる

注目すべきは総返済額です。上の同じ金利上昇シナリオで、5年ルールありの総返済額は約6,629万円、即時反映は約6,495万円。返済額を先送りした5年ルールのほうが、元金の減りが遅い分だけ総額では約134万円多くなりました。

「返済額が急に上がらない=お得」ではありません。5年ルールは家計の急変を和らげる緩衝装置ではあるものの、負担そのものを軽くする仕組みではなく、総額ではむしろ増えうる——この点を理解したうえで変動金利を選ぶことが大切です。

最悪のケース:未払い利息

金利が据え置き期間中に急騰すると、さらに深刻な事態が起こりえます。据え置かれた毎月返済額よりも、その月に発生する利息のほうが大きくなる状態です。このとき、返済額では利息すら払いきれず、払えなかった利息が「未払い利息」として積み上がります。

この状態では、毎月返済してもローン残高が1円も減らないどころか、実質的に借金が増えていきます。試算では、借入4,000万円で据え置き期間中に金利が5%まで急騰したケースで、約4年にわたり残高が減らない状態が発生しました(利息 約197万円/年 > 返済 約138万円/年)。

未払い利息は繰り延べられ、最終的に精算が必要です。現在の緩やかな上昇局面ですぐ起こる話ではありませんが、「返済額が据え置かれる=安全」と誤解していると、金利が急上昇したときに残高が減らない現実に直面します。5年ルールは万能の安全装置ではありません。

金利上昇局面での備え方

変動金利のリスクは、正しく備えれば過度に恐れる必要はありません。次の3点が現実的な対策です。

  • 繰上返済の余力を持つ:金利が上がったときに繰上返済すれば、利息負担と未払い利息のリスクを直接減らせる。上昇分に対応できる家計の余裕が変動金利の前提
  • 上昇後の返済額でシミュレーションしておく:今の低い返済額ではなく、+1%・+1.5%上昇した場合の返済額でも家計が回るかを事前に確認する(当サイトのシミュレーターは金利上昇シナリオを選べます)
  • 固定への借り換えを検討する:上昇が本格化する前なら、全期間固定(フラット35など)への借り換えで返済額を確定させる選択肢もある。借り換え費用と、確定させる安心のバランスで判断する

実質負担で「耐えられるか」を確かめてから借りる

当サイトのシミュレーターは、金利タイプや上昇シナリオ、5年ルール/即時反映を切り替えて、毎月返済額と総返済額の変化を試算できます。管理費・修繕積立金・固定資産税まで含めた実質負担で、金利が上がっても耐えられるかを確認してから借入額を決めるのが、金利上昇局面での最も確実な備えです。

よくある質問

変動金利が0.5%上がると毎月返済額はいくら増えますか?
借入額によります。基準金利1.1%・35年・元利均等の場合、借入3,500万円で月約8,400円、4,000万円で月約9,700円、5,000万円で月約1万2,000円の増加が目安です。総返済額では、借入4,000万円で0.5%上昇なら約405万円、1%上昇なら約831万円増える計算になります。
5年ルール・125%ルールがあれば返済額は急に上がりませんか?
毎月返済額の急増は抑えられますが、支払う利息が減るわけではありません。据え置いている間も金利上昇分の利息は発生し、元金の減りが遅くなります。5年後には上限(従前の1.25倍)まで返済額が上がることがあり、総返済額はむしろ増える場合があります。返済額の先送りであって、負担そのものの軽減ではない点に注意が必要です。
未払い利息とは何ですか?
5年ルールで毎月返済額が据え置かれている間に金利が急騰し、その月の利息が返済額を上回ると、払いきれなかった利息が「未払い利息」として積み上がります。この状態ではローン残高が減らず、実質的に借金が増えます。繰り延べられた未払い利息は最終的に精算が必要です。緩やかな上昇ではすぐ起きませんが、急騰時のリスクとして理解しておくべきです。
金利上昇が心配です。今から固定金利に借り換えるべきですか?
一概には言えません。全期間固定に借り換えれば返済額は確定しますが、固定金利は変動より高く、借り換えには諸費用もかかります。上昇が本格化する前に確定させる安心を取るか、変動の低い金利を活かしつつ繰上返済の余力で備えるか、家計の余裕とリスク許容度で判断してください。まず上昇後の返済額をシミュレーションし、耐えられない水準なら借り換えを検討する、という順序が現実的です。

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