元利均等返済と元金均等返済の違い|どちらを選ぶべきか
住宅ローンの返済方式には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。同じ金額を同じ金利・同じ期間で借りても、どちらの方式を選ぶかによって毎月の返済額の推移と支払う利息の総額が変わります。契約後に方式を変更できない金融機関も多いため、借入前に仕組みを理解しておくことが大切です。
元利均等返済は毎月の返済額(元金+利息)が完済まで一定になる方式で、日本の住宅ローンでは最も一般的です。一方、元金均等返済は毎月返済する元金部分を一定にする方式で、当初の返済額は大きいものの、残高の減りが速いため総利息を抑えられます。
この記事では、両方式の仕組みの違い、総利息の差がどの程度になるのか、そしてどのような家計にどちらが向いているのかを、実際の試算数値を交えて解説します。
元利均等返済の仕組みと特徴
元利均等返済は、毎月の返済額を完済まで一定額に固定する方式です。返済額の内訳を見ると、当初は利息の割合が大きく、返済が進むにつれて元金の割合が増えていきます。残高が多い借入初期ほど利息が多く発生するため、初期の返済では元金がなかなか減らないという特徴があります。
最大のメリットは、毎月の支出が一定で家計の見通しを立てやすいことです。教育費や車の買い替えなど将来の支出計画と組み合わせやすく、借入当初の返済額が元金均等返済より小さいため、同じ年収でも借入可能額が大きくなりやすい点も特徴です。
デメリットは、同条件の元金均等返済と比べて元金の減りが遅く、総利息が多くなることです。特に金利が高い場合や返済期間が長い場合、この差は無視できない金額になります。
元金均等返済の仕組みと特徴
元金均等返済は、毎月返済する元金を「借入額÷返済回数」で一定にし、そこにその時点の残高に対する利息を上乗せして支払う方式です。残高は毎月同じペースで減っていくため、利息も毎月少しずつ減り、返済額は初回が最も大きく、その後は毎月逓減していきます。
メリットは、元金の減りが速いため総利息を元利均等返済より抑えられることです。また、返済後半の負担が軽くなるため、定年後も返済が続く計画では後半の家計負担を軽減できます。
注意点として、借入当初の返済額が最も大きいため、審査上の返済負担率が同じ借入額でも高く算定され、借入可能額が小さくなる傾向があります。さらに、元金均等返済はすべての金融機関で選べるわけではなく、取扱いのない金融機関もあります。検討する場合は事前に取扱いの有無を確認しましょう。
| 項目 | 元利均等返済 | 元金均等返済 |
|---|---|---|
| 毎月返済額 | 完済まで一定 | 初回が最大で毎月逓減 |
| 当初の返済額 | 小さい | 大きい |
| 総利息 | 多い | 少ない |
| 元金の減り方 | 当初は遅い | 毎月一定で速い |
| 家計管理 | 見通しを立てやすい | 後半ほど楽になる |
| 取扱金融機関 | ほぼすべて | 取扱いのない機関もある |
総利息の差はどのくらいか|3,000万円借入の試算
両方式の差が実際にどの程度になるのか、借入3,000万円・返済期間35年のケースで試算してみます。低金利のうちは差が小さく、金利が上がるほど差が広がるのがポイントです。
金利0.5%では総利息の差は約8万円にとどまりますが、金利1.5%になると差は約69万円まで広がります。つまり、変動金利の低い水準で借りている間は方式による差は限定的で、金利水準が高いほど元金均等返済の利息軽減効果が大きくなります。
試算例:3,000万円・35年借入の方式別比較
- 【金利0.5%の場合】元利均等返済:毎月77,875円で一定、総利息約271万円(総返済額約3,271万円)。元金均等返済:初回83,928円で毎月逓減、総利息約263万円。総利息の差は約8万円です。
- 【金利1.5%の場合】元利均等返済:毎月91,855円、総利息約858万円。元金均等返済:初回108,928円、総利息約789万円。総利息の差は約69万円に広がります。
- 元金均等返済は当初の返済額が0.5%で約6,000円、1.5%では約17,000円大きくなる点に注意が必要です。
どちらを選ぶべきか|家計タイプ別の考え方
元利均等返済が向いているのは、毎月の支出を一定にして家計管理をシンプルにしたい人、借入当初は子育てや教育費などで支出が多く当初負担を抑えたい人、借入可能額を最大化したい人です。日本の住宅ローン利用者の大多数はこの方式を選んでいます。
元金均等返済が向いているのは、当初の高い返済額に耐えられる収入・貯蓄の余裕がある人、総利息をできるだけ抑えたい人、定年前後に返済負担を軽くしておきたい人です。ただし前述のとおり取扱金融機関が限られるため、金利条件の良い金融機関が元金均等返済に対応していないケースもあります。
なお、元利均等返済を選んでも、繰上返済を活用すれば元金の減りを速めて総利息を抑えることは可能です。「当初の負担は抑えつつ、余裕資金ができたら繰上返済する」という組み合わせは、実務上よく採られる方法です。方式の差だけでなく、金利タイプや繰上返済の計画も含めて総合的に判断しましょう。
よくある質問
- 元利均等返済と元金均等返済はどちらが得ですか?
- 同じ借入額・金利・期間であれば、総利息は元金均等返済のほうが少なくなります。例えば3,000万円・金利1.5%・35年の場合、元利均等返済の総利息は約858万円、元金均等返済は約789万円で、差は約69万円です。ただし元金均等返済は当初の返済額が大きいため、家計の余裕を踏まえて選ぶ必要があります。
- 元金均等返済はどの銀行でも選べますか?
- いいえ、元金均等返済はすべての金融機関で取り扱われているわけではありません。都市銀行や住宅金融支援機構のフラット35では選択できますが、ネット銀行を中心に元利均等返済のみの金融機関もあるため、事前に取扱いの有無を確認する必要があります。
- 返済方式は契約後に変更できますか?
- 多くの金融機関では、契約後に元利均等返済と元金均等返済を切り替えることはできません。変更したい場合は借り換えが必要になるのが一般的です。そのため、借入前にライフプランを踏まえて方式を決めておくことが重要です。
- 元利均等返済でも総利息を減らす方法はありますか?
- はい、あります。元利均等返済を選んだ場合でも、繰上返済(特に期間短縮型)を行えば元金の減りを速めて総利息を減らせます。当初の返済負担を抑えたい場合は、元利均等返済と計画的な繰上返済を組み合わせる方法が現実的です。
理解度チェック
Q. 元金均等返済は、どの金融機関でも選べる。
答え: ❌ — 元金均等返済は取扱いのない金融機関もあります。また当初の返済額が大きいため、同じ借入額でも審査上の返済負担率が高く算定される傾向があります。検討する場合は事前に取扱いの有無を確認しましょう。