【47都道府県】家を買うのに必要な年収ランキング|同じ3,500万円でも120万円差
「年収いくらあれば家を買えるか」という問いに、住んでいる都道府県を考慮して答えている情報はほとんどありません。しかし毎月の住居費は、ローン返済だけでなく駐車場代や地震保険料など地域差の大きい費用を含んだ「実質負担」で決まります。
本記事では、当サイトのシミュレーターと同じ計算ロジックを使い、同一条件(借入3,500万円・35年・新築マンション・車1台)での毎月の実質負担と、そこから逆算した「無理なく買うために必要な年収の目安」を47都道府県ぶん一括計算してランキングにしました。
結論を先に言うと、最も重い東京都と最も軽い県の差は毎月約2.5万円・年間約30万円で、必要年収の目安に直すと約120万円の差になります。そして、その差のほとんどは物件価格でも金利でもなく「駐車場代」から生まれています。
試算の前提——同じ物件・同じ借入で、地域差のある費用だけを変える
この試算は「同じ条件の借入をしたとき、住む都道府県によって毎月の負担がどれだけ変わるか」を切り出すものです。物件は新築マンション(頭金1割・物件価格約3,889万円)、借入は3,500万円・35年・元利均等・ボーナス払いなしで固定し、都道府県によって変わる費用として月極駐車場の相場(車1台)と地震保険の料率水準だけを変化させます。
実質負担には、毎月返済に加えて、管理費・修繕積立金・固定資産税という「持ち家の必須維持費」を含めます。この考え方と初期値は当サイトのシミュレーターおよび計算根拠ページ(/methodology)と共通です。
駐車場相場と地震保険の料率水準は、シミュレーターが都道府県切り替えで使う初期値(概算)です。同じ県内でも都心と郊外で大きく変わるため、実際の検討では自分の候補エリアの金額に置き換えてください。
試算例: 借入3,500万円(金利年1.1%・35年・元利均等・新築マンション)
- 毎月返済: 100,439円(全都道府県で共通)
- 必須維持費: 33,583円/月(管理費12,000円+修繕積立金7,000円+固定資産税の月割14,583円。新築時の目安)
- 駐車場代: 月6,000円(佐賀・長崎など)〜30,000円(東京)の相場初期値
- 地震保険(マンション・5年一括の月割): 料率水準の低い県で約667円、高い県(東京・千葉・神奈川・静岡)で約1,667円
- 必要年収の目安 = (上記合計×12か月)÷ 25%(無理のない上限とされる実質負担率)
47都道府県ランキング——実質負担が重い順(同額はタイ表記)
同じ実質負担になる県はまとめて表記しています。順位の数字は「上に何県あるか」で数えた順位です。
| 順位 | 都道府県 | 駐車場相場/月 | 実質負担/月 | 必要年収の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 30,000円 | 165,689円 | 約795万円 |
| 2 | 神奈川県 | 20,000円 | 155,689円 | 約747万円 |
| 3 | 大阪府 | 20,000円 | 155,189円 | 約745万円 |
| 4 | 京都府 | 15,000円 | 149,689円 | 約719万円 |
| 5 | 千葉県 | 12,000円 | 147,689円 | 約709万円 |
| 6 | 埼玉県・愛知県 | 12,000円 | 147,189円 | 約707万円 |
| 8 | 兵庫県・福岡県 | 12,000円 | 146,689円 | 約704万円 |
| 10 | 宮城県 | 10,000円 | 145,189円 | 約697万円 |
| 11 | 北海道・広島県 | 10,000円 | 144,689円 | 約695万円 |
| 13 | 静岡県 | 8,000円 | 143,689円 | 約690万円 |
| 14 | 茨城県・奈良県・沖縄県 | 8,000円 | 143,189円 | 約687万円 |
| 17 | 石川県・滋賀県・岡山県 | 8,000円 | 142,689円 | 約685万円 |
| 20 | 福島県・山梨県・三重県・和歌山県・香川県・愛媛県 | 7,000円 | 142,189円 | 約683万円 |
| 26 | 青森県・岩手県・秋田県・山形県・栃木県・群馬県・新潟県・富山県・福井県・長野県・岐阜県・熊本県・鹿児島県 | 7,000円 | 141,689円 | 約680万円 |
| 39 | 徳島県・高知県・大分県・宮崎県 | 6,000円 | 141,189円 | 約678万円 |
| 43 | 鳥取県・島根県・山口県・佐賀県・長崎県 | 6,000円 | 140,689円 | 約675万円 |
差を生んでいるのは、ほぼ「駐車場代」
1位の東京都と最下位グループの差は毎月25,000円ですが、内訳を見ると駐車場相場の差が24,000円、地震保険料の差が約1,000円です。つまりこのランキングは実質的に「車の保管コストの地域差ランキング」と言い換えられます。
地震保険は「地震リスクの高い県は保険料も高い」と語られがちですが、マンション(耐火構造)の場合、料率水準が最も高い東京・千葉・神奈川・静岡でも月割にすると約1,667円、低い県との差は月1,000円程度です。戸建て(基準額が約2倍)でも月2,000円程度の差にとどまり、駐車場代の差(最大月24,000円)とは桁が違います。
逆に言えば、都市部で「機械式駐車場付きだから安心」と車を持ち続けると、35年間で駐車場代だけが大きく累積します。東京の相場月30,000円は35年で1,260万円に達し、借入額の3分の1を超える規模です。
車を持たなければ、必要年収は全国ほぼ一律になる
同じ条件で駐車場代をゼロ(車なし)にすると、実質負担は地震保険の差だけになり、毎月134,689円〜135,689円、必要年収の目安は約647万〜651万円と、47都道府県でほぼ横並びになります。
つまり東京都で車を手放すと、必要年収の目安は約795万円から約651万円へと約144万円ぶん下がります。都市部は駐車場代が高い代わりに公共交通が発達しており、「車を持たない」という選択が地方よりも現実的です。カーシェアやレンタカーの利用料を月1〜2万円と見込んでも、保有よりも負担が軽くなるケースが多いでしょう。
「車ありなら地方が有利、車なしなら全国ほぼ同条件」というのがこの試算の実務的な結論です。移住や住み替えの検討では、物件価格だけでなく「その土地での暮らしに車が必要か」を必要年収に織り込んで比較してください。
この試算の限界——「同じ借入額」の前提に注意
本試算は費用の地域差を切り出すために借入額を固定しています。実際には、同じ3,500万円で買える物件の広さ・立地は都道府県で大きく異なります。東京都区部では同予算で選べる新築マンションが限られる一方、地方では同予算でより広い物件や戸建ても選択肢に入ります。「同じ年収でどんな家に住めるか」の比較は、都道府県別の住宅事情をまとめた記事もあわせて参照してください。
また、駐車場相場は県単位の目安であり、同じ県内でも駅前と郊外、平置きと機械式で数倍の差が出ます。固定資産税は物件価格に対する概算率で全国一律にモデル化しており、実際の評価額や自治体の都市計画税率では変わります。数値はすべて概算・目安として扱ってください。
自分の条件(年収・頭金・都道府県・車の有無)での実質負担は、トップページのシミュレーターで都道府県を切り替えるとそのまま計算できます。
よくある質問
- 「実質負担」とは何ですか?
- 毎月のローン返済額に、持ち家で必ずかかる維持費(マンションなら管理費・修繕積立金・固定資産税の月割)と、駐車場代・地震保険料など地域や使い方で変わる費用を足した、毎月の実際の住居費のことです。ローン返済額だけを見て「家賃並みだから大丈夫」と判断すると、この維持費のぶん家計を圧迫します。
- なぜ都道府県で必要年収が変わるのですか?
- ローン返済額と管理費等は全国共通でも、月極駐車場の相場(月6,000円〜30,000円)と地震保険の料率水準(県により約2.5倍の差)が地域で異なるためです。本試算ではこの差が毎月最大約2.5万円、必要年収の目安に直すと約120万円の差になりました。差の大部分は駐車場代です。
- 車を手放すとどのくらい変わりますか?
- 駐車場代がゼロになるため、東京都では必要年収の目安が約795万円から約651万円へと約144万円ぶん下がります。車なしの場合、都道府県による実質負担の差は地震保険料の月1,000円程度だけになり、必要年収の目安は全国ほぼ一律(約647万〜651万円)になります。
- 必要年収の目安はどうやって計算していますか?
- 毎月の実質負担(返済+必須維持費+駐車場+地震保険)を12倍して年間負担を出し、それが額面年収の25%(無理のない返済の上限としてよく使われる実質負担率)に収まる年収を逆算しています。審査に通る年収ではなく「家計に無理なく払える年収」の目安である点に注意してください。
- 戸建てで計算すると結果は変わりますか?
- 戸建ては管理費がない代わりに修繕の自主積立(月1.5万円程度)を見込むため必須維持費は同水準ですが、地震保険の基準額がマンションの約2倍になるため、料率の高い県との差がやや広がります(それでも月2,000円程度)。駐車場が敷地内に確保できる戸建てなら駐車場代がなくなり、地域差はほぼ消えます。