新築に欠陥が見つかったら|契約不適合責任でどこまで直させられる?
この記事の要点
- 欠陥が見つかったら、買主は①補修(追完)②代金減額 ③損害賠償 ④契約解除を求められます(契約不適合責任)
- 構造部分と雨漏りは法律で10年保証が義務(品確法)。契約書の「保証2年」より優先されます。売主が倒産しても保険・供託(住宅瑕疵担保履行法)で守られます
- 重要な期限は「不適合を知った時から1年以内の通知」。まず書面・メールで通知して証拠を残すことが第一歩です
入居してみたら床が傾いている、雨染みが出た、図面と違う——新築でも欠陥・不具合は起きます。そのとき買主を守るルールが「契約不適合責任」(2020年の民法改正で瑕疵担保責任から再構成)と、新築特有の「品確法の10年義務」です。
泣き寝入りする人と適切に補修を勝ち取る人の差は、法律の知識よりも初動(通知と記録)で生まれます。この記事では、買主ができる請求、期限、相談先、やってはいけないことを順に解説します。
契約不適合責任 — 買主ができる4つの請求
引き渡された住宅が契約の内容(種類・品質・数量)に適合しない場合、買主は売主に対して次の4つを段階的に請求できます。
- !!info 順序も決まっています。原則としてまず①の補修を求め(相当期間を定めた催告)、応じない場合に②減額へ進みます。③は①②と併用可能です
| 請求 | 内容 | 典型場面 |
|---|---|---|
| ①追完請求(補修) | 無償での修補・代替物の引き渡しを求める | まずはこれが基本。雨漏りの補修、傾きの是正など |
| ②代金減額請求 | 補修されない・できない場合に代金の減額を求める | 催告しても直さない、直せない性質の不適合 |
| ③損害賠償請求 | 補修で足りない損害(仮住まい費用等)の賠償 | 補修期間のホテル代、家財の損害など |
| ④契約解除 | 目的を達成できない重大な不適合のとき | 住めないレベルの欠陥・是正不能な違法建築など(最終手段) |
新築の強い味方 — 品確法の「10年義務」と倒産時の保険
新築住宅にはさらに強力なルールがあります。住宅品質確保促進法(品確法)により、「構造耐力上主要な部分」(基礎・柱・梁・耐力壁など)と「雨水の浸入を防止する部分」(屋根・外壁・開口部まわり)については、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任が義務です。契約でこれより短くすることはできません。
さらに住宅瑕疵担保履行法により、新築の売主・請負人は保険加入または保証金の供託が義務付けられています。つまり売主が倒産していても、保険法人への直接請求で補修費用が守られる設計です。契約時に受け取った保険付保証明書(または供託の書面)を確認してください。
「アフターサービス基準で2年」といった説明は、内装・設備などの話としては普通です。ただし構造と雨漏りの10年義務はそれとは別立てで、特約でも消せません。
動き方 — 通知・記録・専門家の順
なお中古住宅では「契約不適合責任を免責する」特約が広く使われており、有効です(宅建業者が売主の場合は最低2年の責任が義務)。中古の欠陥リスクは購入前のインスペクションで潰すのが基本になります。引き渡し前のチェックは内覧会・施主検査の記事へ。
- ①気づいたらすぐ書面で通知 — 契約不適合責任は原則「不適合を知った時から1年以内に売主へ通知」が必要です(民法566条)。電話ではなくメール・書面で、日付と内容が残る形で
- ②記録を残す — 写真・動画(日付入り)、症状のメモ、やり取りの記録。補修前の状態の記録が交渉の生命線です
- ③第三者の目を入れる — 売主側の「問題ありません」に納得できなければ、ホームインスペクション(住宅診断)や建築士による調査で客観的な根拠を作る
- ④相談窓口を使う — 国交省指定の住まいるダイヤル(住宅紛争処理支援センター)は電話相談無料・建築士と弁護士による専門家相談も。評価住宅・保険付き住宅は住宅紛争審査会のADR(あっせん・調停・仲裁)を1万円で利用できます
- !!warn ⑤自分で補修業者を入れる前に売主へ — 先に第三者が手を入れると、不適合の立証が難しくなり費用も自己負担になりがちです。緊急でない限り、通知→売主の対応→不調なら第三者調査の順で
よくある質問
- 新築の欠陥はいつまで無償で直してもらえますか?
- 部位によります。構造耐力上主要な部分(基礎・柱・梁など)と雨水の浸入を防止する部分(屋根・外壁など)は、品確法により引き渡しから10年間の瑕疵担保責任が義務で、契約で短縮できません。それ以外の内装・設備などは契約のアフターサービス基準(1〜2年が一般的)と契約不適合責任によります。いずれも「不適合を知った時から1年以内の通知」が原則なので、気づいたらすぐ書面で通知してください。
- 売主が倒産してしまった場合、補修費用はどうなりますか?
- 新築住宅なら住宅瑕疵担保履行法により、売主・請負人は保険加入か供託が義務付けられています。保険付きの住宅であれば、構造・防水の欠陥について保険法人へ直接請求でき、補修費用が保険金でカバーされます。契約時に受け取る保険付保証明書で保険法人名を確認し、住まいるダイヤルに相談しながら手続きを進めるのが確実です。
- 欠陥の相談はどこにすればいいですか?
- まずは国土交通大臣指定の住宅紛争処理支援センターが運営する「住まいるダイヤル」(電話相談無料)が入口として適しています。建築士による技術的な相談と、必要に応じて弁護士との専門家相談につながれます。建設住宅性能評価書付きや瑕疵保険付きの住宅なら、住宅紛争審査会のADR(あっせん・調停・仲裁)を申請手数料1万円で利用でき、訴訟より軽い手続きで解決を図れます。
理解度チェック
Q. 新築住宅の保証期間は契約書に「引き渡しから2年」と書かれていれば、構造の欠陥も2年で保証が切れる。
答え: ❌ — 住宅品質確保促進法(品確法)により、新築住宅の「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」については引き渡しから10年間の瑕疵担保責任が売主・請負人に義務付けられており、契約でこれより短くすることはできません。「2年」の特約が有効なのはそれ以外の部分(内装・設備等)です。