賃貸の保証会社とは?費用相場・審査・連帯保証人との違い
賃貸の見積りに載っている「保証会社利用料」。連帯保証人を立てられるのに加入必須と言われて、疑問に思った方も多いのではないでしょうか。現在の賃貸市場では、保証会社への加入を契約条件とする物件が大半を占めるようになっています。
背景には、2020年4月施行の民法改正で個人の連帯保証人に「極度額」(責任の上限額)の設定が義務付けられ、個人保証が使いにくくなったことがあります。国土交通省も家賃債務保証業者の登録制度を設けており、保証会社の利用は賃貸契約の標準的な形になりました。
この記事では、保証会社の仕組み、初回保証料・更新料の相場、連帯保証人との違い、審査に落ちる理由と対策、そして「保証会社は自分で選べるのか」という疑問まで解説します。
保証会社の仕組み:家賃を「立て替える」会社
家賃保証会社(家賃債務保証業者)は、借主が家賃を滞納したときに、借主に代わって貸主へ家賃を立て替え払いする会社です。借主は保証料を支払って保証を受け、滞納が起きた場合は保証会社が貸主に代位弁済し、その後、保証会社が借主へ立て替え分を請求(求償)します。
「保証会社が払ってくれるから滞納しても大丈夫」というのは誤解です。立て替えられた家賃は保証会社への借金として残り、督促を受けます。滞納情報が保証会社の信用データベースに登録されると、次の引越しの審査に通りにくくなる不利益もあります。
国土交通省は2017年から家賃債務保証業者の登録制度(任意登録)を運用しており、一定の要件を満たした業者が登録されています。登録の有無は業者の信頼性を測る一つの目安になります(2026年7月時点)。
費用相場:初回保証料と更新料
保証料の体系は会社によって異なりますが、大きく「初回保証料+更新料」型と「初回保証料+月額保証料」型に分かれます。いずれも保証の対象は家賃だけでなく、共益費・更新料・原状回復費・明け渡し訴訟費用などに及ぶのが一般的です。
保証料は「家賃」ではなく「総賃料(家賃+共益費等)」を基準に計算されるのが一般的です。見積りを確認するときは基準となる金額もチェックしましょう。
| 費用項目 | 相場の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 初回保証料 | 総賃料の30〜100%程度 | 50%前後の設定が多い。契約時に一括払い |
| 更新料(年払い型) | 年1万円前後、または総賃料の10%程度/年 | 1〜2年ごとに発生 |
| 月額保証料(月払い型) | 総賃料の1〜2%程度/月 | 初回保証料が低い代わりに毎月かかる |
| 滞納時の事務手数料等 | 会社・状況による | 立て替え発生時に別途かかる場合がある |
連帯保証人との違い:民法改正の「極度額」がカギ
従来の賃貸契約では、親族などの連帯保証人を立てるのが一般的でした。連帯保証人は借主とほぼ同じ重さの責任を負い、貸主から請求されれば滞納家賃や損害賠償を支払わなければなりません。
2020年4月施行の改正民法により、個人を保証人とする根保証契約(継続的な債務を保証する契約)では、極度額=責任の上限額を書面で定めなければ無効となりました(民法465条の2、2026年7月時点)。極度額は「家賃の○ヶ月分」や具体的な金額で契約書に明記されます。
この改正で、貸主側には「極度額を超える損害は保証人に請求できない」「保証人に契約時の情報提供が必要」といった制約が生じ、上限のない保証を提供できる保証会社(法人保証)への切り替えが一気に進みました。
物件によっては「保証会社+緊急連絡先」だけでなく「保証会社+連帯保証人」の両方を求められるケースもあります。この場合、費用と保証人への依頼の両方が必要になるため、条件は申込み前に確認しましょう。
| 連帯保証人(個人) | 保証会社 | |
|---|---|---|
| 費用 | かからない(人間関係の負担はある) | 初回保証料+更新料等がかかる |
| 責任の上限 | 極度額まで(2020年民法改正で必須) | 会社が保証(借主への求償は続く) |
| 審査 | 保証人の収入・年齢等を貸主が確認 | 保証会社独自の審査 |
| 現在の主流 | 単独では減少 | 加入必須の物件が大半 |
保証会社の審査:落ちる理由と対策
保証会社の審査では、主に「家賃と収入のバランス(月収の3分の1以内が目安)」「職業・雇用形態・勤続年数」「過去の滞納歴」が見られます。審査期間は即日〜3日程度が一般的です。
保証会社は大きく分けて、信販系(クレジットカード会社系。CICなどの信用情報を照会)、協会系(LICC等の業界団体で滞納情報を共有)、独立系(自社基準)の3タイプがあり、審査の厳しさはおおむねこの順です。信販系はクレジットカードや携帯端末代金の延滞歴が影響しますが、独立系はそれらを照会しないため通りやすい傾向があります。
信販系の審査に落ちても、不動産会社が別の(協会系・独立系の)保証会社に切り替えて再審査してくれるケースは珍しくありません。1社落ちた時点で諦めず、担当者に相談してみましょう。
- 家賃が月収の3分の1を大きく超えている → 家賃帯を下げる・貯蓄額を申告する
- 過去に家賃やカードの滞納歴がある → 信販系を避けた物件・保証会社を選ぶ
- 無職・転職直後・フリーランス → 預貯金審査や親族の代理契約を相談する
- 申込書の不備・虚偽(年収の水増し等) → 発覚すると一発で否決。正直に書く
- 電話確認(本人・勤務先)に出られない → 審査が止まる原因。着信には必ず対応
保証会社は選べる?保証料は交渉できる?
保証会社は借主が自由に選ぶものではなく、貸主・管理会社が指定するのが原則です。管理会社ごとに提携する保証会社が決まっているため、「保証料が安い会社に変えてほしい」という交渉は基本的に通りません。保証料そのものの値引き交渉も難しいのが実情です。
保証料を抑えたいなら、会社を変える交渉よりも「初回保証料が安い保証会社と提携している物件・管理会社を最初から選ぶ」「連帯保証人を立てれば保証会社不要(または保証料割引)の物件を探す」ほうが現実的です。募集図面の備考欄に保証会社の条件が書かれていることが多いので、内見の段階で確認しておきましょう。
なお、貸主側の事情で保証会社加入が必須になっている物件で加入を拒否すると、そもそも契約できません。費用も含めて契約条件の一部と考え、総額で物件を比較するのが賢明です。
よくある質問
- 保証会社の保証料の相場はいくらですか?
- 初回保証料は総賃料(家賃+共益費)の30〜100%程度が目安で、50%前後の設定が多く見られます。加えて、1〜2年ごとの更新料(年1万円前後または総賃料の10%程度)か、毎月の月額保証料(総賃料の1〜2%程度)がかかる体系が一般的です。総賃料8万円なら、初回2.4〜8万円程度+更新料のイメージです。
- 連帯保証人がいれば保証会社は不要ですか?
- 物件によります。現在は連帯保証人の有無にかかわらず保証会社への加入を契約条件とする物件が大半です。2020年4月施行の民法改正で、個人の連帯保証人には極度額(責任の上限額)の設定が必須になり、貸主にとって個人保証だけでは滞納リスクをカバーしにくくなったためです。連帯保証人のみで契約できる物件を希望する場合は、物件探しの段階で不動産会社に伝えましょう。
- 保証会社の審査に落ちる理由は何ですか?
- 主な理由は、家賃が収入に対して高すぎる(月収の3分の1超が目安)、過去の家賃滞納歴が業界データベースに残っている、信販系保証会社の場合はクレジットカード等の延滞歴、申込内容の不備や虚偽、本人・勤務先への電話確認が取れない、などです。落ちた場合も、審査基準の異なる別の保証会社で再審査できることが多いため、不動産会社に相談してみてください。
- 保証会社は自分で選べますか?
- 原則として選べません。保証会社は貸主・管理会社が指定するもので、借主側から会社の変更や保証料の値引きを求めても通らないのが一般的です。保証料を抑えたい場合は、初回保証料の安い保証会社と提携している物件や、連帯保証人を立てれば保証会社が不要になる物件を最初から選ぶほうが現実的です。
- 家賃を滞納すると保証会社はどうなりますか?
- 保証会社が貸主に家賃を立て替え払いし、その後、借主に立て替え分を請求(求償)します。滞納が帳消しになるわけではなく、督促や遅延損害金の対象になり、滞納情報が保証会社の共有データベースや信用情報機関に登録されると、将来の入居審査やクレジット審査に影響するおそれがあります。支払いが苦しいときは放置せず、早めに保証会社・管理会社へ相談してください。