『家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本』要約|ローン本の定番
住宅のお金の本は山ほどありますが、「最初の1冊」としてよく名前が挙がるのが、千日太郎さんの『家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本』(日本実業出版社、2018年)です。著者は現役の公認会計士で、住宅ローンをテーマにした人気ブログの運営者。出版社の書籍紹介では〈「家と住宅ローンの専門家」の現役公認会計士である人気ブロガーが、「ホンネの話」を教えます〉と謳われています(日本実業出版社の書籍ページより)。
内容は、後悔しない家の買い方の考え方から始まり、無理のない予算の決め方、価値が下がりにくい物件の見方、住宅ローンの組み方、保険、税金・補助金まで。不動産会社や銀行の側ではなく、買う側の立場で通しで書かれているのが最大の特徴です。
この記事では、本書のどこが「効く」のか、そして出版から時間が経った本をどう読むべきかを紹介します。
この本の核心——「いくら借りられるか」ではなく「いくらなら返せるか」
本書を貫くメッセージはシンプルです。銀行が貸してくれる額と、自分が無理なく返せる額は別物だということ。営業マンが出してくる資金計画書は「買わせるための数字」になりがちなので、自分の年収と生活から返済負担率を逆算して予算を先に決めよう——この順番こそが、家選びで消耗しないための土台になります。
また、頭金をいくら入れるか、変動金利と固定金利をどう選ぶか、住宅ローン控除をどう織り込むか、団信や生命保険との重複をどう整理するかといった、判断が分かれるテーマについて「考え方の枠組み」を示してくれるのも実用書ならではです。読み終わる頃には、金融機関のウェブサイトや営業トークの数字を、自分の物差しで測れるようになっているはずです。
当サイトのシミュレーターは、まさにこの「自分の物差し」を数字にするためのツールです。本書で考え方の骨格を作り、シミュレーターで年収・物件価格・金利を変えながら実質負担を試算する——この組み合わせが、費用対効果としては最強だと考えています。
読むときの注意——お金の本は「数字の鮮度」に気をつける
唯一の注意点は、刊行が2018年だということです。考え方の骨格(予算の逆算、金利タイプの選び方、保険の整理)はいまも通用しますが、金利水準や住宅ローン控除の限度額・控除率といった具体的な数字は、その後の改正で変わっています。住宅ローン控除は特に改正が多い制度で、2026年入居からも制度内容が見直されています。
対処はシンプルで、「考え方は本から、数字は最新の一次情報から」と割り切ることです。制度の現在値は国税庁や国土交通省のサイトで確認できますし、当サイトの解説記事とシミュレーターは最新の制度に合わせて更新を続けています。本の数字をそのまま使うのではなく、本で覚えた枠組みに最新の数字を流し込んでください。
これは本書に限らず、お金系の実用書すべてに共通する注意点です。書店で住宅ローン本を選ぶときは、奥付の発行年と「何年時点の制度に基づくか」の記載を必ず確認しましょう。
どんな人におすすめか
「物件を見始めたけれど、お金の話になると急に自信がなくなる」「営業マンの資金計画をうのみにしていいのか不安」という人に、いちばん効く1冊です。逆に、すでに返済負担率や金利タイプの考え方が頭に入っている人には、復習+盲点チェックの位置づけになります。
読む順番としては、漫画『正直不動産』で業界の空気をつかんでから本書でお金の骨格を作る流れが飲み込みやすいはずです。本書を読み終えたら、シミュレーターで自分の数字を作り、間取りや物件の見方は『住まいの解剖図鑑』へ——と進むと、購入準備の知識が一通りそろいます。
よくある質問
- 2018年の本ですが、いま読んでも役に立ちますか?
- 役に立ちます。予算の逆算、金利タイプの選び方、保険の整理といった考え方の骨格は変わっていません。ただし金利水準や住宅ローン控除などの具体的な数字は改正で変わっているため、数字は国税庁などの一次情報や、更新され続ける計算ツールで確認してください。
- 住宅ローンの知識ゼロでも読めますか?
- 読めます。専門用語には説明がつき、買う側の目線で章立てされているので、特別な前提知識は不要です。読みながらわからない用語が出てきたら、当サイトの住宅ローン関連情報(/guide)で個別に補うと理解が早くなります。
- この本を読んだ後、次に何をすればいいですか?
- 自分の数字を作ることです。年収から無理のない借入額を確認し、検討中の価格帯で毎月の返済額と実質負担(管理費・修繕積立金・固定資産税・住宅ローン控除まで含む)を試算してください。本で学んだ「考え方」に自分の数字が入ると、物件情報の見え方が変わります。