家を買ったら生命保険を見直す|団信で死亡保障はいくら減らせる?

この記事の要点

  • 団信加入は「ローン残高と同額の死亡保険」に入るのと同じ。万一のとき遺族に「ローンのない家」が残ります
  • だから住宅購入後は、死亡保障の必要額から住居費相当を差し引いて再計算でき、保険料を下げられる余地が生まれます
  • 一方で医療・がん・就業不能への備えは団信ではカバーされません(特約付き団信を除く)。減らす保障と残す保障の切り分けが大切です

住宅ローンを組むとき、ほとんどの人が団信(団体信用生命保険)に加入します。これは実質的に「ローン残高と同じ額の死亡保険」への加入です。3,000万円借りたなら、3,000万円の死亡保障が(金利に含まれる形で)ついてきたことになります。

ところが、賃貸時代に入った生命保険をそのまま続けている家庭が多い。保障がダブっているなら、月数千円・35年で百万円単位の払いすぎになりえます。この記事では、団信を踏まえた保険見直しの考え方と手順、そして「減らしてはいけない保障」を整理します。団信自体の仕組みは団信の解説を先にどうぞ。

なぜ減らせるのか — 遺族の家計から「住居費」が消える

生命保険の必要保障額は、遺された家族の支出(生活費・住居費・教育費)から、収入(遺族年金・配偶者の収入・貯蓄)を引いた不足分で決まります。

賃貸暮らしなら、遺族はその後もずっと家賃を払い続けます。この「将来の家賃の総額」が死亡保障を大きくする主因でした。持ち家+団信では、万一のときローンが完済され、遺族の住居費は管理費・修繕費・固定資産税など月数万円レベルまで下がります。ここが見直しの原資です。

たとえば月10万円の家賃相当を25年分カバーするつもりだった保障は単純計算で3,000万円。団信があれば、この部分を丸ごと外して考え直せます(維持費は残るため、実質負担ベースでの再計算はシミュレーターでどうぞ)。

見直しの手順と、収入保障保険という選択肢

見直しは次の4ステップで進めます。なおペアローンの場合は夫婦それぞれが自分の借入分の団信に入るため、どちらが亡くなっても「その人の借入分だけ」が完済されます。残った側のローンは続くので、見直しは夫婦それぞれの借入額を前提に行ってください(ペアローンの解説)。

  • ①現在の保険を棚卸し — 死亡保障の総額・保険料・満期を一覧にする(会社の団体保険・共済も含めて)
  • ②必要保障額を再計算 — 遺族の生活費(住居費は維持費のみ)+教育費 − 遺族年金 − 配偶者収入 − 貯蓄。教育費の目安は公的データで押さえる
  • ③足りない分だけ掛け捨てで — 不足分は保険料の安い定期保険・収入保障保険(毎月給付型)で埋めるのが定石。子どもの成長とともに必要額が減っていく形と、収入保障保険の三角形の保障は相性が良い
  • ④貯蓄型保険の扱いは慎重に — 解約返戻金のある保険は、返戻率・払込済みへの変更など選択肢が複数。安易な解約の前に条件を確認

減らしてはいけない保障 — 団信がカバーしないもの

団信(一般型)がカバーするのは死亡・高度障害のみです。次のリスクは団信では守られません。見直しは「全部削る」ではなく、ダブった死亡保障を削り、手薄な就業不能・医療に付け替えるリバランスと捉えるのが失敗しないコツです。

  • !!warn 働けなくなるリスク(就業不能) — 死んでいないがローンを払えない、が実は怖いパターン。がん団信・疾病保障付き団信(ワイド団信とあわせて解説)や就業不能保険での備えを検討
  • !!warn 医療費・がん治療費 — 団信は治療費を出しません。医療保険・がん保険の要否は貯蓄とのバランスで判断
  • 配偶者(ローンを組んでいない側)の死亡 — 団信の対象外。家事・育児の担い手を失う経済的影響は過小評価されがち
  • 火災・災害は別の保険 — 建物のリスクは火災保険・地震保険の領域です(火災保険の選び方)

よくある質問

団信に入ったら生命保険は解約してもいいですか?
全部解約は早計です。団信でカバーされるのは「ローン残高」だけで、遺族の生活費・教育費や、死亡以外のリスク(就業不能・医療)は残ります。正しい手順は、必要保障額から住居費相当を差し引いて再計算し、ダブっている死亡保障の部分だけを減額・解約することです。貯蓄型保険は解約返戻金の条件も確認してから判断してください。
住宅購入で保険料はどのくらい下げられますか?
元の保険の設計によるため一概には言えませんが、賃貸前提で数千万円の死亡保障を掛け捨てで持っていた場合、団信によって保障を数百万〜千万円単位で減らせることが多く、月数千円の保険料差になるケースが典型です。35年続けば総額は百万円規模になり得ます。重要なのは金額の大小より「住居費を二重にカバーしていないか」の点検です。
ペアローンの場合、保険の見直しはどう考えますか?
夫婦それぞれの団信は自分の借入分しか完済しないため、一方が亡くなると残された側のローンは続きます。見直しは「配偶者が亡くなった場合に、自分の収入+遺族年金で自分のローンと生活費を払えるか」を夫婦それぞれで計算するのが基本です。不足するなら、その分を収入保障保険などで補います。連生団信(夫婦どちらでも全額完済)を扱う金融機関もあります。

理解度チェック

Q. 団信(団体信用生命保険)に加入して家を買った場合、以前から入っていた死亡保険の必要額は増えるのが一般的だ。

答え: ❌ — 逆です。団信により契約者死亡時は住宅ローンが完済され、遺族は住居費(家賃相当)の心配が大きく減ります。遺族の生活費から住居費を除いて必要保障額を計算し直せるため、死亡保障はむしろ減らせるのが一般的です。賃貸時代に設計した保険をそのままにしていると保障が重複しがちです。

参考情報