不動産の買取と仲介どっちを選ぶ?買取が2〜3割安い理由と向いているケース
この記事の要点
家を売る方法は、買主を探してもらう「仲介」だけではありません。不動産会社自身が買主になる「買取」という選択肢があります。買取の広告は「最短数日で現金化」「仲介手数料不要」と魅力的ですが、価格は市場より確実に安くなります。
どちらが正解かは状況次第です。この記事では、買取が安くなる構造、買取が合理的になる具体的ケース、中間形態の買取保証、そして「安値の買取に誘導する営業」への自衛策を解説します。売却全体の流れは売却の流れの記事、費用は売却費用の記事へ。
買取が7〜8割になる構造 — 業者は何を引き受けているか
買取業者は、あなたの家を再販して利益を出すために買います。再販価格から、リフォーム費用・保有期間中の金利や税金・販売経費・売れ残りリスク・利益を差し引いた額が買取価格です。市場価格の7〜8割程度という水準は、この構造から来ています。
見方を変えると、買取は「時間・手間・売れないリスク・瑕疵のリスク」をまとめて業者に移転する取引です。差額の2〜3割は、その移転の対価。だから比較すべきは「仲介の査定額 vs 買取額」の額面だけでなく、「仲介で売れるまでの期間・手間・値下がりリスク込みの手取り」vs「確定した買取手取り」です。
手取り比較では、買取は仲介手数料(売買価格×3%+6万円+税)がかからないのが通例な点、仲介では成約まで値下げが入り得る点も織り込んでください。手取り計算は売却手取りシミュレーターでできます。
買取が合理的な5つのケース
逆に言えば、時間に余裕があり、物件に大きな難がないなら仲介が基本です。市場価格との差2〜3割は、35年ローンの繰り上げ数年分に相当する大金です。
- ①期限が決まっている — 転勤・住み替えの決済日・相続税の納付期限など。「◯月◯日までに現金化」が絶対条件なら、期間の読めない仲介より確実です(住み替えの段取り)
- ②販売活動が負担 — 内見のたびの片付け・立ち会い、長期化のストレス。遠方の実家(空き家)の売却で特に効きます(実家の空き家の記事)
- ③契約不適合責任を免除したい — 買取では売主の契約不適合責任を免除する契約が一般的。古い家の「売った後の雨漏り・シロアリ請求」リスクを断ち切れます(契約不適合責任の解説)
- ④仲介で買い手が付きにくい物件 — 再建築不可・旧耐震・事故物件・大規模リフォーム前提など。市場で個人の買い手を待つより、再生ノウハウのある業者に売るほうが早く高いことさえあります
- ⑤周囲に知られたくない — 買取は広告を出さないため、近所やSNSに売却が知られにくい
買取保証と、安値誘導への自衛策
中間形態として買取保証(売却保証)があります。一定期間(例: 3ヶ月)は仲介で高値売却に挑戦し、売れなければ事前に約束した価格で業者が買い取る仕組みです。期限の確実性と高値の可能性を両取りできる半面、保証額は低めに設定され、仲介期間中の販売活動が本気で行われないリスク(囲い込み的な構造)もあります。保証額と仲介時の販売計画を書面で確認してください。
- !!warn 自衛策①: 先に複数社の仲介査定を取る — 買取額の妥当性は市場価格が分からないと判断できません。一括査定等で仲介の査定レンジを掴んでから買取の話を聞く順序が正解です(一括査定の使い方)
- !!warn 自衛策②: 「今日決めれば高く買います」に乗らない — 即決を迫る買取営業は、比較させないための典型手法です。買取は複数社で競わせるだけで数十万〜数百万円変わることがあります
- 自衛策③: 成約データで相場を裏取り — 不動産情報ライブラリ等の成約価格で、同エリア・同築年の実勢を自分でも確認(成約価格の調べ方)
- !!info しつこい売却勧誘の電話・訪問に困ったら、国民生活センター(188)や宅建業の免許行政庁への相談対象です(勧誘電話の断り方)
よくある質問
- 不動産の買取価格は市場価格のどのくらいですか?
- 一般に市場価格(仲介で売れる想定額)の7〜8割程度と言われます。業者は再販のためのリフォーム費用・保有コスト・売れ残りリスク・利益を差し引いて買い取るためです。ただし仲介手数料がかからないことが多く、契約不適合責任も免除されるのが通例のため、手取りベースの差は額面の差より縮まります。複数の買取業者で競わせると価格が上がることも珍しくありません。
- 買取と仲介はどうやって選べばいいですか?
- 判断軸は「時間」「手間」「リスク」の3つです。売却期限が決まっている、内見対応が難しい、売却後の契約不適合責任を避けたい、再建築不可など市場で売りにくい物件——これらに当てはまるほど買取の合理性が上がります。時間に余裕があり物件に大きな難がなければ、市場価格で売れる仲介が基本です。まず複数社の仲介査定で相場を把握し、その数字を基準に買取額を評価する順序をおすすめします。
- 買取保証(売却保証)とは何ですか?
- 一定期間は仲介として市場で売却に挑戦し、期間内に売れなかった場合に、あらかじめ取り決めた価格で不動産会社が買い取る仕組みです。売却期限を確定させつつ高値の可能性も残せる中間形態ですが、保証額は買取相場並みに低めに設定されます。また保証があることで仲介期間の販売活動が消極的になる利益相反の構造もあるため、保証額・販売計画・広告の内容を契約前に書面で確認することが重要です。
理解度チェック
Q. 不動産会社の「買取」は仲介より手取りが必ず少なくなるので、どんな事情があっても仲介で売るほうが合理的である。
答え: ❌ — 買取価格は市場価格の7〜8割程度になるのが一般的ですが、仲介手数料がかからないことが多く、契約不適合責任も免除されるのが通例で、売却時期も確定します。転勤までに確実に売りたい、内見対応ができない、瑕疵のリスクを抱えたくない、再建築不可など仲介では買い手が付きにくい物件——そうした事情がある場合は、差額を「確実性とリスク移転の対価」として買取を選ぶ合理性があります。