2023年6月台風2号の大雨の記録|越谷市・草加市で3,000棟超が浸水した内水氾濫

この記事の要点

  • 2023年6月2〜3日、台風2号と梅雨前線の影響で、埼玉県は6月として記録的な大雨となった
  • 越谷市で床上浸水600件・床下浸水2,529件、草加市で床上62件・床下162件(埼玉県第11報)。草加市・越谷市・松伏町に災害救助法が適用された
  • 被害の大半は河川の決壊ではなく内水氾濫——雨水の行き先である中川・綾瀬川の水位が上がり、市街地の雨水を排水できなくなったことによるもの

2023年6月2日から3日にかけて、台風2号と梅雨前線の影響で関東地方は記録的な大雨となりました。埼玉県は6月として記録的な大雨となり、県東部の越谷市・草加市・松伏町を中心に住宅への浸水が多発。越谷市だけで床上浸水600件・床下浸水2,529件(埼玉県まとめ・2023年6月13日時点)にのぼり、3市町に災害救助法が適用されました。

この災害の重要な特徴は、大きな河川の堤防は決壊していないことです。被害の大半は、市街地に降った雨を排水しきれずにあふれる内水氾濫によるものでした。本記事では、何が起きたのかを公的発表にもとづいて記録し、越谷・草加など埼玉県東部で住まいを探す人・住んでいる人が持ち帰るべき教訓を整理します。

何が起きたか:6月として記録的な大雨と、県東部の広域浸水

6月2日、前線に向かって台風2号の湿った空気が流れ込み、関東地方では朝から夜まで雨が降り続きました。埼玉県内は6月として記録的な大雨となり、短時間の強雨と長時間の降り続く雨が重なりました。

県のまとめ(2023年6月13日時点・第11報)によると、住家被害が特に大きかったのは越谷市と草加市です。両市とも利根川水系の中川・綾瀬川流域に位置する低平地で、大雨のたびに排水ポンプと水門で雨水を川へ送り出すことで市街地を守っている地域です。

主な住家浸水被害(埼玉県 第11報・2023年6月13日時点)
自治体床上浸水床下浸水備考
越谷市600件2,529件災害救助法適用
草加市62件162件災害救助法適用
松伏町災害救助法適用(浸水被害あり)

なぜ浸水したのか:川は決壊していないのに3,000棟超

越谷市・草加市の浸水の主因は内水氾濫です。市街地の雨水は下水道や水路を通って中川・綾瀬川へ排水されますが、流域全体に降った大雨で川の水位そのものが上がり、雨水の"出口"がふさがれた状態になりました。ポンプで強制排水しても追いつかず、行き場を失った雨水が低い場所から市街地にあふれたのです。

これは「堤防が壊れなくても、川の水位が高いだけで市街地は浸水する」という内水氾濫の典型例です。洪水ハザードマップ(河川の氾濫想定)だけを見ていると、このタイプのリスクは読み取れません。越谷市・草加市はいずれも内水ハザードマップを公表しており、大雨時に水が溜まりやすい場所は事前に確認できます。

内水氾濫の仕組みと外水氾濫との違い、2026年の令和8年8月千葉豪雨など他の事例は、内水氾濫の解説記事でまとめています。

越谷・草加エリアで住まいを選ぶときの教訓

第一に、内水ハザードマップと過去の浸水実績の両方を確認すること。低平地の市街地では「想定」と「実績」の両方を見ることが重要です。2023年6月に浸水した場所は市の記録に残っており、自治体の窓口や公表資料で浸水履歴を確認できます。調べる手順は別記事で解説しています。

第二に、建物の形でリスクを下げること。内水氾濫の浸水深は床下〜床上程度が中心のため、基礎の高い建物・2階以上の住戸を選ぶ、半地下や掘り込み車庫を避けるだけで被害の大きさは大きく変わります。

第三に、火災保険水災補償を確認すること。床上浸水600件という数字は、そのまま保険の出番になった世帯の数でもあります。低平地で戸建てや1階住戸に住むなら、水災補償を外す判断は慎重にしてください。

越谷市・草加市を含む中川・綾瀬川流域では、国・県・市が調節池や排水機場の整備を続けています。「過去に浸かった場所」の対策がその後どう進んだかは、流域治水プロジェクトの公表資料や市の下水道計画で確認できます。

よくある質問

越谷市や草加市は水害に弱い地域なのですか?
両市を含む埼玉県東部の中川・綾瀬川流域は、周囲より低い低平地で、ポンプ排水に守られてきた地域です。その意味で内水氾濫への注意が特に必要な地形ですが、市内でも場所によってリスクは大きく異なります。「市全体が危ない」と考えるのではなく、市が公表する内水ハザードマップと2023年6月の浸水実績で、検討している場所単位のリスクを確認してください。
2023年6月に浸水した家を購入するときは何を確認すべきですか?
床上浸水の履歴がある場合、被害の程度と修繕内容を記録(罹災証明書・修繕履歴)で確認することが最重要です。あわせて、浸水の原因(内水か河川か)、その後の周辺の治水対策の進捗、火災保険の水災補償込みの保険料を確認してください。記録が残っていて対策も進んでいる物件は、曖昧な説明しかない物件よりむしろ判断材料が揃っているといえます。
被害の数値はどこで確認できますか?
埼玉県の「令和5年6月2日からの大雨及び台風第2号による被害状況について」(被害状況報)が一次ソースです。本記事の数値は2023年6月13日発表の第11報時点のもので、その後の報で更新されている場合は最新の公表値を優先してください。

参考情報