令和4年台風15号の記録|静岡市清水区・巴川で起きた内水氾濫と断水の教訓

この記事の要点

  • 2022年9月23〜24日、令和4年台風第15号の大雨で静岡地方気象台の総雨量は419.5ミリ、12時間降水量は404.5mm。市内複数の観測点で観測史上1位の雨量を更新した
  • 静岡市の住家被害は床上浸水3,221棟・床下浸水1,597棟。うち清水区が床上2,581棟・床下1,075棟と大半を占めた(静岡市まとめ)
  • 巴川の氾濫(外水)と、排水しきれない雨水による内水氾濫が同時に発生。さらに取水口の閉塞で清水区を中心に大規模断水が起き、生活への影響が長期化した

2022年9月23日から24日未明にかけて、令和4年台風第15号の影響で静岡県は線状降水帯を伴う記録的な大雨となりました。静岡地方気象台(駿河区)の総雨量は419.5ミリ、最大12時間降水量は404.5mmに達し、市内複数の観測点では観測史上1位の雨量を更新。静岡市では巴川流域の清水区を中心に、床上浸水3,221棟・床下浸水1,597棟(静岡市まとめ)という大きな浸水被害が発生しました。

さらにこの災害では、河川の取水口が流木などで塞がれたことによる清水区の大規模断水が重なり、「浸水そのもの」に加えて「ライフラインの停止」が生活を長く圧迫しました。本記事では、葵区・駿河区・清水区で何が起きたのかを記録し、静岡で住まいを探す人・住んでいる人への教訓を整理します。

どんな雨だったか:12時間404.5mm、市内各地で観測史上1位

台風本体が離れていたにもかかわらず、台風に流れ込む湿った空気が静岡県上空で線状降水帯を作り、夜間に猛烈な雨が降り続きました。静岡地方気象台(駿河区曲金)の総雨量は419.5ミリ。日最大1時間107.0mm・12時間404.5mm・24時間416.5mmは、いずれも統計開始(1940年)以来2位という値で、24時間降水量は1974年の七夕豪雨に次ぐ記録です。さらに市内複数の観測点では、1〜48時間降水量で観測史上1位の値を更新しました。「台風の中心から離れていても、記録的な大雨は起こる」ことを示した事例でもあります。

深夜の急激な増水だったことも被害を大きくしました。避難情報や川の水位を確認しにくい時間帯に浸水が進み、多くの世帯が「気づいたら床上まで水が来ていた」状況に置かれました。

被害の全体像:清水区に集中した浸水と大規模断水

静岡市のまとめによると、住家被害は床上浸水3,221棟・床下浸水1,597棟。区別では清水区が床上2,581棟・床下1,075棟と大半を占めます。清水区の市街地を流れる巴川は流域の勾配が緩く水が抜けにくい川で、本流からあふれる外水氾濫と、市街地の雨水を川へ排水できなくなる内水氾濫が同時に起こりました。

浸水と並ぶもうひとつの被害が断水です。興津川の取水口が大雨で流された流木や土砂で塞がれ、清水区を中心に最大約6万3,000世帯の断水が発生(9月24日〜10月6日・静岡市まとめ)。復旧までの間、市内には給水所の長い列ができ、「水害のあとに水が使えない」という二重の負担が続きました。

水害の被害は「家が浸かるかどうか」だけではありません。断水・停電・道路の寸断など、ライフラインへの影響は浸水しなかった家にも及びます。住まいの水害リスクを考えるときは、地域のインフラがどこに依存しているかも視野に入れてください。

静岡市の住家浸水被害(静岡市まとめ)
床上浸水床下浸水
清水区2,581棟1,075棟
葵区531棟450棟
駿河区198棟92棟
静岡市 計3,221棟1,597棟

静岡で住まいを選ぶときの教訓

第一に、川の「勾配」に注目すること。巴川のように流れの緩い川の流域は、大雨のときに水が抜けにくく、外水と内水の両方のリスクを抱えます。静岡市はハザードマップに加えて令和4年台風第15号の浸水実績図を公表しており、「実際にどこが浸かったか」を場所単位で確認できます。浸水履歴の調べ方は別記事で手順化しています。

第二に、夜間の浸水を想定すること。今回の被害は深夜に進行しました。浸水リスクのある場所に住むなら、避難情報の通知設定(防災アプリ・緊急速報)と、垂直避難(2階以上へ逃げる)の判断基準を家族で決めておくことが実際の被害を減らします。

第三に、水災補償と生活再建の備え。床上浸水3,221棟という規模は、火災保険の水災補償の有無が世帯の再建速度を分けたことを意味します。あわせて、罹災証明書の取得など被災後の手続きを知っておくと、いざというとき動きが速くなります。

よくある質問

静岡市清水区は水害に弱い地域なのですか?
清水区の市街地は、勾配の緩い巴川の流域に発達しており、大雨時に水が抜けにくい地形条件があるのは事実です。ただし区内でもリスクは場所によって大きく異なります。静岡市が公表するハザードマップと令和4年台風第15号の浸水実績図で、検討している場所が実際に浸かったかどうかを確認するのが、「区全体のイメージ」で判断するより正確です。
台風の進路から外れていれば大雨の心配はありませんか?
いいえ。令和4年台風第15号の静岡の大雨は、台風の中心が離れた位置にある段階で、台風に向かって流れ込む湿った空気が線状降水帯を作って発生しました。2024年の台風10号でも、中心から遠く離れた地域で記録的な大雨が観測されています。「進路予想円の外=安全」ではなく、大雨に関する気象情報そのものを確認してください。
被害の数値はどこで確認できますか?
静岡市の台風15号災害のまとめ資料と、静岡県の「令和4年台風第15号による豪雨災害の記録」が一次ソースです。本記事の数値は静岡市まとめの値(2026年8月23日取得)にもとづいており、その後更新があれば最新の公表値を優先してください。

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