住宅ローン借り換えのタイミングとデメリット|「金利差1%」は古い基準

この記事の要点

  • 借り換えの判断基準は金利差ではなく「利息軽減額 − 諸費用」の差引です。「金利差1%以上」は古い経験則で、残高大・残期間長なら0.3%差でも得になり得ます
  • 試算例: 残高2,500万円・残り25年1.5%1.0%なら利息▲約173万円(月▲5,766円)。一方残高1,000万円・残り10年0.3%差は▲約15.5万円で諸費用に食われがちです
  • デメリットは諸費用の持ち出し・団信の再審査(健康状態)・手間の3つ。既存銀行への金利引き下げ交渉という「借り換えない選択肢」も先に試す価値があります

「借り換えは金利差1%・残高1,000万円・残り10年から」——ネットでよく見るこの目安は、保証料や手数料が高かった時代の経験則です。低コストのネット銀行が普及した現在は、条件によって0.3%程度の差でも得になる一方、古い基準を満たしていても諸費用で逆転するケースがあります。

この記事では、正しい損益の考え方・借り換えに向く人向かない人・見落とされがちなデメリットを整理します。自分の条件での具体的な損益は借り換えシミュレーターで諸費用込みの差引を計算できます。

損益の構造 — 「利息軽減 − 諸費用」がすべて

借り換えの得は利息軽減額(旧ローンの残り利息 − 新ローンの利息)から諸費用(事務手数料・保証料・登記費用・印紙※電子契約なら不要・完済側の手数料)を引いた差引で決まります。利息軽減額は「残高 × 金利差 × 残期間」にほぼ比例するため、残高が大きく・残期間が長いほど小さな金利差でも効く構造です。

  • !!info 変動→固定への借り換えは「損得」ではなく金利上昇保険の購入です。目先の支払いは増えても、上昇リスクを固定したい人には合理的な選択です(固定・変動の比較)

試算例(元利均等・当サイトの計算エンジンによる)

  • 残高2,500万円・残り25年1.5%1.0%: 利息軽減 約173万円・毎月返済 ▲5,766円
  • 残高2,500万円・残り25年1.0%0.7%(0.3%差): 利息軽減 約101万円 → 諸費用60万円でも差引+41万円
  • 残高1,000万円・残り10年0.3%差: 利息軽減 約15.5万円 → 諸費用しだいで逆転(損)
  • ※ 諸費用は借入額×2.2%型か定額型かで大きく変わります。正確な差引は借り換えシミュレーターでどうぞ

デメリットと落とし穴

借り換えは「得な人には大きく得」ですが、見落とすと痛い注意点があります。

  • !!warn 団信の再審査がある — 借り換えは新規ローン契約なので健康告知が必要です。持病ができていると通らない・ワイド団信で金利上乗せになることがあります。健康に不安が出る前が借り換えの適齢期という視点は重要です(団信の解説)
  • 諸費用は先払い・軽減は後から — 数十万円の持ち出しが先に発生します。手元資金との相談を
  • 保証料の戻し — 旧ローンで保証料を一括前払いしていれば、完済時に戻し保証料が返ります。損益計算に忘れずに(保証料の解説)
  • 手間は実質「新規審査1回分」仮審査→本審査→金消契約→抵当権の付け替え。1〜2ヶ月かかります
  • 同じ銀行内では「借り換え」できない — 既存行に対しては次の交渉ルートになります

先に試す価値: 既存銀行への金利引き下げ交渉

実は、借り換えを検討する人がまず試すべきはいまの銀行への金利引き下げ相談です。銀行にとって借り換えられると残りの利息収入を全部失うため、「他行の借り換え見積もり」を持って相談すると、引き下げ(優遇幅の拡大)に応じることがあります。応じてもらえれば諸費用ほぼゼロ・手続き最小で借り換えと同等の効果です。

交渉の材料作りとしても、他行の事前審査を取っておく価値があります。優遇金利の仕組みは優遇金利の解説へ。断られたら本来の借り換えに進めばよいだけなので、失うものがありません。

よくある質問

住宅ローンの借り換えはどのくらいの金利差から得になりますか?
一律の基準はなく、「利息軽減額−諸費用」の差引で判断します。残高2,500万円・残り25年のように残高が大きく期間が長い場合は0.3%の差でも利息軽減が100万円規模になり得ますが、残高1,000万円・残り10年では同じ0.3%差でも15万円程度で、諸費用に食われて損になることがあります。金利差・残高・残期間・諸費用の4点セットでシミュレーションしてください。
借り換えのデメリットは何ですか?
主に3つです。①諸費用(事務手数料・登記費用等の数十万円)が先に持ち出しになる、②新規契約のため団信の健康告知・審査をやり直す必要があり、健康状態によっては通らない、③審査から抵当権の付け替えまで1〜2ヶ月の手間がかかる。また旧ローンで受けていた金利優遇やポイント特典が消える点、変動から固定に替える場合は目先の返済額が上がる点も事前に確認が必要です。
借り換えずに今の銀行に金利を下げてもらうことはできますか?
交渉次第で可能です。銀行は借り換えで顧客を失うより優遇幅を広げて引き留めるほうが得なため、他行の借り換え見積もりや事前審査結果を持って相談すると応じることがあります。成功すれば諸費用も手間もほぼゼロで借り換え相当の効果が得られます。断られたら通常の借り換えに進めばよいので、先に試して損のない選択肢です。

理解度チェック

Q. 住宅ローンの借り換えは「金利差が1%以上ないと損」なので、0.5%程度の差では検討する意味がない。

答え: ❌ — 「金利差1%・残高1,000万円以上・残り10年以上」は諸費用水準が高かった時代の古い経験則です。残高2,500万円・残り25年なら0.5%の金利差で利息軽減は170万円規模になり、諸費用(数十万円)を引いても十分に得です。判断基準は金利差の大小ではなく「利息軽減額−諸費用」の差引がプラスかどうかで、残高・残期間・諸費用の3つで決まります。

参考情報